ご紹介する時計
型番「5856-8020」(品番から’77年6月製造)
ケースサイズは直径;35㎜(リュウズ含まず) 厚さ;8.8㎜ ラグ幅;17㎜
作られてから実に40年以上が経過している立派なアンティーク品を購入しました。冒頭申し上げておくと、数千円のお買い物です(^^;) 購入価格を聞かれたら、違う意味で?恥ずかしさを覚える腕時計。
この価格でジャンク品ではなく、外装は全てオリジナル(内装もおそらくは)の一品。残念ながらステップ運針は秒目盛りから若干ズレていて、ハック機能「アジャスター機能」は損なわれていました。







オールドクォーツの立ち位置…
オールドセイコーはグランドセイコーをはじめ、機械式時計の愛好家がたくさんおられるように思いますが、その中でもクォーツ時計を好きな方はかなりコアな?少数派?なんでしょう…。情報が少ないように感じるのは、なにぶんその需要に乏しいからか。
高いも安いも、新しいも古いも、腕時計が好きな方はやはり「機械式」に目がいきますよね。
私もアンティーク含む機械式の時計を持っていますが、クォーツ時計に対しては偏見を持っていました。クォーツ時計って「すぐ壊れるんだよね?」や「機械式に比べて安物だよね?」だとか。申し訳ないです。しかし、これは私に限ったことではなく、私の周りでも数多く囁かれていることです。
趣味性が高い腕時計の世界において、クォーツには機械式ほどのロマンが足りないのでしょうか?機械式をはるかに上回る精度を持ちながら、何十年ものあいだ動いてきたアンティーククォーツたちに救いの手を!じゃないですが、その手頃過ぎる相場に惹かれ、立て続けに2本購入した以上、どこかで紹介したいなと思い、今回の記事を書くことに決めました。
以下も革靴以上に「ど素人」のくだらない考察含みます笑
オールドクォーツにだってロマンがあった
セイコーが初めてクォーツ腕時計を販売したのが’69年12月。処女機「セイコーアストロン」の当時の定価は45万円と、当時の大衆車と同じだった(!?)というから、超高級品と言っていいくらいの価格設定ですね。
それ以降、大衆機を続々発表し、世界の腕時計市場を席巻!機械式が中心だった腕時計業界を駆逐するほどの勢いで世界中で認知されました。「クォーツショック」というやつです。今でこそ考えられないですが、スイスの有名な時計ブランドも幾つか死にかけた(もしくは死んだ)んだそうです。
と、機械式の高付加価値商品がもてはやされる現在となっては、信じられないような出来事が起きていたんですね…それも私が生まれた頃に。機械式にしかないと思われたロマンでしたが、歴史を知ることでクォーツのロマン枠が埋まりました笑
オールドクォーツは当時の高級機だったようです

いきなり当時の広告を載せていますが、価格はグランドクォーツ80千円、キングクォーツ58千円。おそらく’70年代後半の広告と思われます。現在の貨幣価値なら…みたいな話は面倒なので置いといて。
クォーツ時計の普及から、セイコーが機械式グランドセイコーの製造を中止したのが’75年ですから、これらのクォーツ時計は現在のグランドセイコーやプレサージュの上位機種みたいな位置付けが適当かと思います。少なくとも、ポンポンと何本も買える対象ではなかったんでしょう。ちなみに、当時は最上位機種として、「セイコースーペリアクォーツ」なるものがあったようです。
オールドクォーツの精度と寿命
機械式と比べて歴史が浅く、その寿命の面で心配されるクォーツ時計ですが…果たしてその精度は如何なものでしょうか?
(あくまでも個体差がありますが)今回購入したキングクォーツを実例に見てまいります。
購入はヤフオクで落札、現状渡しだったこともあり一抹の不安はあったものの、商品が到着した際、なんと秒針が2秒送りになっていました!
しかし購入前の下調べから、この2秒送りには逆に少し安心した次第です。これは「電池寿命切れ予告」という立派な機能。その機能が正常に働いている!素晴らしい!と笑
その後、カレンダーの日送り、曜日送りも正常なことを確かめつつ、メンテナンスに。
運良く、自宅から数分のところに創業100年を超える個人経営の時計屋さんがありましたので、すぐさま電池交換とメンテナンスを依頼。必要があれば磁気抜きやオーバーホールまで。

特筆すべきは、その精度ではないでしょうか?月差+4.5秒。発売当時のスペックである月差±10秒を上回っている状態、かつ電池も約2年保つという…。
くれぐれも、40年以上前の腕時計です。明日壊れるかもしれない…に、機械式もクォーツもないでしょう。「機械式なら直せる」と思いがちですが、古い時計であれば純正パーツが残っているのか分かりません。ドナーを確保する必要もあるかもしれません。
仮にクォーツの電子回路が逝ってしまっても、換装する選択肢だってあるようです。クォーツが短命かどうかは、機械式と同様に、所有者の思い入れが左右するように思えますね。
ランニングコスト
また、驚くべきはそのコスト!電池及びパッキン交換でたったの2,300円。手持ちの機械式腕時計のオーバーホールでは万単位の出費ですから、このランニングコストは魅力です。パッキン交換により日常生活に支障がない程度の防水性も期待できそうですね!もちろん、期待しすぎは禁物ですが。
オールドクォーツに未来はあるのか
専門店でも、ヤフオクでもメルカリでもなんでもいいのですが、中古市場にはある程度タマがあるようです。私自身、もう幾つか狙っている個体があるのは秘密です笑
冒頭申し上げた通り、オールドクォーツはその需要の低さからか、当時の高級機とは思えないほど市場価格は暴落している模様。同時期のロレックスエクワンの定価は200千円程度、それがアンティークエクワンともなれば実売価格2,000千円はザラのようです。
私は機械式が嫌いなわけでも、クォーツ至上主義でもありませんし、ましてや生粋の時計愛好家というわけでもありません。しかし、この相場には違和感を感じてしまいます。高くなれ!ではないのですが、、。バブルは嫌だけど、真っ当に?評価される日がくるといいな。
ともあれ、そのお手頃感の恩恵を受けつつ、その装着性や精度からも、セカンドやサード以降の立ち位置で1本持っておくのはアリだと思います!時計好きもそうでない方も、コレクションに1本いかがでしょうか?
「祖父の代から」「父の代から」という物語や、高度経済成長の証というのも大袈裟かもしれないけれど、ありがたみを持って、アンティーククォーツを大切に使っていきたいと思っています!
ちなみに私の腕時計に関する情報は…
通常?というか、時計の機構や機能に関して
友人でもある彼のサイトを参考にしています。今回、得た知識は全く使えてないですが、入門者からマニアの方でも満足できる作りになっていますので、興味がある方は是非参考にされてください!
コメント
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