はじめに…
プロの方々をはじめとする鏡面磨きの動画の数々、YouTubeなんか。私も参考にさせてもらってます。
しかし、いまさら気がついたことが…
「動画で見ると混乱しません?」
5年くらい前?私が鏡面磨きを始めたばかりの頃、動画を参考にしてみても、なかなかうまくいきませんでした。
そう、動画に惑わされてたんです笑
鏡面磨きを習得した人には伝わるであろう、力加減や水分量あたりがイマイチ伝わり辛い問題。※あくまでも私見です。

プロの方や上手な方のソレは、手慣れてて小慣れてますし、見ていて気持ちいいけど、初心者の方に向けては、ちょっと違う…。あんなにうまくいかない。
鏡面磨きを始めた当初、私が一番苦労したのは、力加減と水分量です。
一度会社の同僚や後輩たちと靴磨き会をしたことがあるのですが、やはり同じでした。
鏡面未経験者に共通するのは「焦って力を入れすぎて鏡面を剥がしてしまう」ことと「焦って水をつけすぎて鏡面を作れない」こと。
これをクリアしないといけない。
YouTube動画が参考になるのは、ある程度自分の思うように鏡面を作れるようになってからの方が役に立つんじゃないかな?と。
何が言いたいかというと、とにかく「光らせてみる」という成功体験がないと、鏡面磨きも上達しなければ、そもそも興味もわかない。
鏡面チャレンジの熱も醒めて、自分には無理だと諦めてしまう(人もいるのかもしれない…)これはよくないですね…靴磨きの素晴らしさを広めたい私にとって、これほどの機会損失はありません笑
文字と静止画だけで伝えられないか…?笑
そこで今回は、私の実体験を踏まえて、初めての鏡面磨きチャレンジでもうまく靴を光らせる方法を伝えられないかな?というものです。
あえて文字と静止画だけで!…というのは、まだ動画にチャレンジする勇気がないだけですが笑
兎にも角にも、鏡面磨きしたことない人向けの記事になっています。
鏡面チャレンジのために準備するもの
1.家にある革靴

当たり前ですが、鏡面磨きのために革靴を購入する必要はありません笑
あるものを磨きましょう!
できれば、キャップトゥの黒革靴が最適です。これは意外と重要だと考えています。
ブローグ付きは初心者には格段に難しくなりますし、プレーントゥだと鏡面の範囲に迷ってしまいがちなので、キャップトゥがおすすめ!何も気にせずキャップ全体を光らせます!
また、茶靴だと色の濃淡を気にしてしまいがちなので、今回は黒靴で。余計なことを考えずにすみます。
ちなみに、お気に入りでも雨用でも、高くても安くても、天然皮革でも合皮でも、表面がツルツルなら問題ありません。
必要なモノは…

2.ワックス
いろんな種類がありますが、正直言ってなんでも光ります。手順さえ間違わなければ、光ります。
どこにでも売っていることを前提に、今回はサフィールのミラーグロス(色はニュートラル)を選択しています。
柔らかめなワックスだと、事前に水分を飛ばしてから使ったりするのですが、ミラーグロスは最初から硬めなので、面倒な事前準備は不要と思われます。
余談ですが、サフィール にしろ、キウィにしろ、フタをカチッと開けるタイプのワックスは危険です。そのうち開閉パーツがとれます。。。取れたら最後、開ける手段を失い、使えないワックスが…笑
これを教訓に、私はできるだけネジって開くタイプを使うようになりました

硬さや特徴で使い分けているワックスですが、効果に大差はありません。使いやすさ含め、お気に入りのワックスに出会えるといいですね!
3.ネル生地
靴磨き用の商品がありますが、起毛していればいいレベル。東急ハンズで取り扱っている鏡面磨き用のネル生地(モゥブレイ等)でも問題ありませんし、ユザワヤなんかの手芸店で販売しているネル生地を使いやすくカットしても問題ありません。
私はブリフトアッシュのネル生地を愛用しています(ネットでも購入できるので地方にいても大丈夫)。ブリフトアッシュのネル生地は厚みがあって、道具のせいだと言い訳できないくらいに素晴らしく使いやすいヤツです!
4.水
鏡面磨き専用のポリッシュウォーターなる水も売ってるんですが、水道水でも何ら問題ありません。中にはウイスキーを使う方もおられるようです。艶が出るそうですが、私は未経験のため、真偽は不明。。。いつかやってみるのもいいですね!
以上が、革靴をピカピカにするのに必要不可欠な道具。これから鏡面磨きにチャレンジする方が投資するのは、ワックスとネル生地だけ。ここまでで約3千円。ミラーグロスはワックスとしては高めなので、初期投資はもっと抑えることも可能です!
いざ!鏡面磨き
ようやく開始していきます。
とにかく基礎が大切なんです!
と言っても技術的な基礎ではなく、ワックスの下地という意味での「基礎(ベース)」
水分量での失敗を避けるのを主な目的として…極論ですが、ワックスの基礎作りに水は必要としません。あえて水を使わずに、とにかくワックスを指で広げ、キャップの範囲で延ばす。それだけに注力していくこととします。
以下、左足(写真右)だけ作業

コツは、体温でワックスを溶かして延ばす、でしょうか。硬めのミラーグロスを指でスリスリしながら溶かし、指先に残ったワックスを靴のキャップ部分になすり付けていきます。
ポイントは、溶けきらずに靴の上でワックスが「ダマ」や「粉っぽく」ならないように!
多少指に力が入っても、なすり付けていって大丈夫です。

靴磨き動画でも見られる「ワックスは弧を描くように均等に延ばしていく」というアドバイスは理にかなっていますが、基礎を作る際にはそこまで気にする必要ありません。
ワックスを指でさすっているうちに、次第にキュキュキュと音が鳴ってきたら乾いてきた証拠です。多少厚塗りになってもいいので、乾いたらまた上から、同じ要領で繰り返していきます。
これを3回4回と繰り返してください。

革の表面を見ると、だんだんと毛穴が塞がれていくのが分かります。ここまで水は使用してませんが、ところどころワックスだけで鈍く光ってきてますよね?
※ムラはありますが、この段階では気にせず大丈夫!

これがワックスのベース。ベースがしっかり出来ていれば、その後の作業の水分量に神経質になる必要もなくなります。
力は必要ありません!
次の工程の前に、ベースが出来ているかどうか、水をつけて確認。
ここでネル生地に直接水をつけるのは危険(たいてい水をつけ過ぎてしまう)なので、靴に直接つけていきます。

写真では分かり辛いかもしれませんが、左足のキャップ中央、水を弾いてますね。ピチピチのお肌のように笑
確認した水滴は、ネル生地で上からさすってあげましょう。
ちなみに…

この先が、いわゆる靴磨き動画で見る姿?でしょうか。今度はネル生地にワックスをつけて、薄く延ばしていきます。
※ちなみにネル生地の装着方法で気をつけるのは、指先がシワにならないように、くらい。作業に支障がなければ、横だろうが縦だろうが問題ありません。

靴の上でネル生地が滑らず、少しパサついてる?と思ったら、また水をちょんちょんと靴に直接付けてあげてください。次第にワックスが粘りながらスムーズに広がっていくはずです。

私の経験?体験上の話ですが、ワックスがぬるぬると広がっていくのを初めて感じたとき「あ!鏡面磨き出来てる!」と感動しました笑
ベースがしっかり出来ていますので、焦ってネル生地に直接水をつけてビショビショにしない限り、水分量でミスすることはありません。

ベース作りの時に無視していたワックスの段差を馴染ませていくことになりますが、特別なテクニックは不要です。ネル生地に付いたワックスが少しずつ段差を埋めていってくれるはずです。
ここまできたら(ようやく)弧を描く!
弧を描くようにさすっていると、既に靴はそれっぽく(?)輝きを増しているはずです笑

ワックスを乗せていく感じが体感できるかと思います。ベースがしっかりしているからこそ(←しつこい?)力を入れずにワックスを重ねて乗せていく感覚が得られるはずです(と、私は信じてます)。
最初のうちは、ワックスのグラデーションなんてものは無視して、とにかくキャップ全体を均一に光らせようとすることが大切です。
どこで終わらせるのか??
光ってる実感を得るのが一番です。写真は、ネル生地にワックスを取って、同時に水も使って…というのを3回ほど繰り返しぬるぬるした結果。


既にピカピカになってます。もう充分でしょう。
次に、ネル生地のワックスが付いていない箇所をセッティングして仕上げ作業に入っていきます。


弧を描いていた作業から一転して、仕上げは縦にさすっていきます。やはり、押さえつけ過ぎないように指の腹を使って。

繰り返しになりますが、くれぐれも力は必要ありません。コバの隙間の部分には、靴の曲面に合わせて指を固定してさすっていきます。
水の上を滑らす!高速で笑
力さえ入れてなければ、スピードを上げて摩擦熱が発生するくらいに笑、表面を滑らせても大丈夫です。


これまた何度か繰り返していくと…


肝心の仕上がった写真が分かり辛い…ですが、外に出たら一目瞭然のはずです笑
この基本が出来るようになったら…
いきなりプロのような手順や身のこなしで鏡面磨きをすることは難しいですが、とりあえず光らせてみるにはうってつけの方法だと思っています。
基本は「水を使い過ぎない」「力を入れ過ぎない」、この2点!
この2点さえ間違わなければ、どんな革靴でも、ワックスでも、鏡面磨きは可能です。
慣れてくれば、つま先のワックスを厚めにしてグラデーションをつけたり、サイドからヒールにかけて鏡面のラインを作るといった高等技術もお手のもの?
鏡面の落とし方
楽しい鏡面磨きですが、やはり落とし方も知っておくべきなので、番外編として一応ご紹介。

写真左がブートブラックの液体ハイシャインクリーナー、中央がクリーム状のハイシャインクリーナー、右がブリフトアッシュの液体クリーナーです。いずれも鏡面を落とす効果が期待できる商品。
個人的には液体の方が使いやすいように感じて愛用しています。革を傷めないように、少量を綿生地にとって優しく拭きとってあげてください。ここでも力を入れ過ぎないように注意が必要です。さすってればワックスは取れます。
液体かクリームかは好みによりますが、クリームはコバまわりにクリームカスが残りがちなのでご注意を。

通常のソフトタイプのクリーナー(ここではステインリムーバー)で鏡面を落とすのは至難の業ですが、サフィール のクレム1925のような油性クリームで鏡面を溶かしてしまうことができます。クリーナーは買わずに、油性クリームで地道にワックスを溶かして剥がしていくのも手ですね。
以上が
とにかく光らせたい人に向けた、鏡面磨きの手法です。あまりかっこいいやり方ではありませんが、いかがだったでしょうか?
私も最初のうちは、この手法のお世話になりました。ワックスの乗りが良くないと感じた時や上手くいかない時は、未だにこの手法に立ち返って鏡面磨きをしています笑
見た目の輝きはもちろんのこと、つま先付近にありがちな擦り傷をガードしてくれる役目を期待できるのも、鏡面磨きのいいところだと思います!
ステイホームの昨今、靴磨きの需要は高まるばかりだと聞いています(ソースなし笑)、是非参考にされてみてはいかがでしょうか?^_^
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