禁断!?の豚毛ブラシの洗濯
前回、豚毛ブラシは親が思っているように育っているのか?との問題提起(のつもり)に対して、各方面からの反応が得られなかったことを良いことに…やってみなきゃ分からんだろう!というわけです。
まずは安価なの天然毛ブラシで、と思っていましたが、いきなり江戸屋ブラシで笑
大切に使ってますが、大事なものだからこそ、ですね。革靴然り、大切なモノこそ…猫っ可愛がりはしません。


油汚れには食器洗い用の洗剤がその強みを発揮するのは分かっているものの、そこは天然毛…自然派でいきたいと思い、重曹を選択。

40℃のお湯500ccに重曹を大さじ2杯(30g)、平たい皿の上にセット。お湯は熱すぎてもよろしくないかとの配慮?からのもの。正解は分かりませんが、おそらく間違いではないでしょう。
準備したのはもう一つ、アミアミです。観葉植物の「土ふるい」というやつ。水切りにもなるかと思います。
注意点。なるべく、ブラシの柄を濡らさないように慎重な作業を心がけて…
作業開始!
まずはブラシを重曹のお湯に浸して1分放置。お湯を吸って、おそらく豚毛が柔らかくなります。きっと汚れにも効果的。

その後、とにかく圧をかけないように注意して、くるくると手首をまわして…手首だけをまわして、毛先を中心に、汚れを落としていきます。
繰り返すこと2分。
お湯は真っ黒に。当たり前っちゃ当たり前ですね。

その後、時間をかけずに両サイド、トップとアンダーからも。とにかく力みを捨てて、毛を沿わせる感じで、横向きに擦らないように気をつけて作業。もちろん、柄は濡らしません。


汚れを凝視すると…重曹の溶け残りとともに、大きなものではありませんが、肉眼で確認できる無数の固形物(汚れ)が。

このカスは…後述します

戻って、真っ黒になった重曹のお湯をすて、ここからは洗いと濯ぎを
2回目、まだまだ黒い汚れが。あらためて、圧をかけないように擦り擦りと。

ここから、土ふるいの上を撫でてあげると、毛の中に入り込んで付着した汚れが落ちていきます。ここでも押しつけるのは厳禁!

野生化する豚毛
このあたりから「なんか臭うな!?」と違和感。気になり出したら止まらない。たちまち悪臭に思えてきました。
そうです、獣臭。豚毛ブラシから、豚ブラシへ。
豚毛が野生化しました。まぁ臭い。天然毛を使用していると実感しながらの作業。こればかりはしょうがないですね。豚に感謝しましょう。
洗濯終了
というわけで、重曹での「洗い」が1回、お湯での濯ぎ洗い2回を経て、完全に野生化した豚毛ブラシ。最後、3回目の濯ぎは、毛の汚れを目視しながら狙いを定めて濯ぎました。
まだ濡れた状態ながら、見た目はどうでしょうか。育ってきたと思われる黒いクリームの色移り、概ね取れたのではないかと。洗い前とは比べものになりません。

そして他に気になるとすれば…それは毛先の広がりですかね。

大事なのは乾燥
おそらく、洗う以上に大切なのが乾燥作業です。キレイになった豚を、豚毛に戻してあげなければ…笑
まだびちょびちょの毛を雑巾で軽く押さえたり、軽くトントンと水気を切った後は、乾燥です。ここでも無理はしません。ヘアドライヤーなんてもってのほかだと思われ…自然乾燥に近いかたちでいきます。
扇風機よりもコレだろう!と、バルミューダのサーキュレーター。かなり近付けてますが、自然風に近いとのことで柔らかな風。

なお、これは迷いましたが…先ずは毛先を下に置きました。前回お伝えした通り、ブラシの保管は毛先を上にすべきだと考えていますが、どのブラシの取扱説明書にもある通り、ブラシの柄の部分が濡れたままになってしまうと、毛抜け等、耐久性が危ぶまれてしまいます。洗ったばかりの毛の乾燥、先ずは毛を下向きに。
暫くしてから、ブラシは横向きに。自重で毛先の広がりを抑えてくれるかもしれません。


※なお、大切なモノを乾かす時に、絶対にしてはいけないのが「天日干し」。他に何があると言われても…革靴しか思い浮かびませんが。革靴が雨で濡れた時も丸洗いした時も、天日干しはやめましょう。
作業途中、インスタで寺沢ブラシ製作所さんからアドバイスいただきました。ハンドルがブナ材のため、天日干しだと木地が割れてしまうこともあるようです。これまた勉強になります。

ひたすら乾燥。待つしかない退屈な時間。毛に触れてみて、乾いたかな?と思ったもののスケールで測ってみると…まだな模様


※私は事前に計量するのを失念していたため、同型のブラシとの比較してますが、作業前に事前計量しておくことをお勧めします!
毛量が多いことが乾燥の足を引っ張ります。気長に…。それと少なからず、毛の根元や柄の部分にまで水分を吸っているようにも感じます。仕方ないですね。
豚毛を洗った影響は?

まずは見た目



いくぶんパサついた感じはしますが、思いのほか毛先が広がることもなく済みました。
洗っていない茶系用の同型ブラシと比較してみても、見た目の問題は見当たりません。
ブラッシングしてみました


ブラッシングの圧に耐えられました。抜け毛等もありません。
クリームをつけていないせいもあって、毛先が軽く感じるかな?若干毛が柔らかく感じたのは、まだ微量の水分が残っている影響もありそうです。ハリやコシが失われた様子もありません。使用にも影響はなさそうです。
洗っていない同型ブラシの毛先を触って摘んで比べてみたところ…茶系は毛先にクリームが残っていて毛先がくっついて離れるような、重たくなっているようにさえ感じます。
※両者に均等に圧をかけたり、反発力をみたり、数値化できたらよかったんですが、感想になってしまっててすみません。
洗い終えた感想
よく言われている「育ったブラシに付着しているのは油分だ」ということ。それは粘性が高い成分かと解釈していましたが…(ある程度見た目で分かっていたものの)ボロボロ落ちていく固形物を前に、その考えを改めざるを得ないかと。
固形物が靴のブラッシングの際に靴に付着する可能性は大いにありますよね。どうだろうか、やはり私はただの残りカス、スス?みたいなイメージをもってしまいます。
古くなって固形化したクリームの残骸。それも数種類のクリームが混在しているのなら、なおさら問題かな。
ブラシ、靴両面での対策として、ブラシの様子を見ながら定期的にブラシを掃除することが大切。それと、ブラシを使ったきりにしないこと(軽いメンテのつもりで、例えば出かける前なんかに軽くブラッシングのみをする、なんてことをしない。必ずブラッシング後に拭き取る)。また、今回のようにブラシを水洗いしてみること…
最後に、適切なクリームの量を知ることやブラッシング技術の向上が挙げられそうです。余分なクリームカスを残さない技術、ですかね。
ますます謎に満ちてきた。
「ブラシが育つってなんだね?」に対して、今は「無条件に育つことはない」ということしか答えられませんが、新たな発見?の連続で、私にとっては有意義な作業になりました。奥深いです、靴ブラシ。
今回、疑問と好奇心に駆られて、豚毛ブラシを洗ってみましたが、少しでも皆さん靴磨きに役立てばありがたいです!
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